本研究は、都市内高速道路における鋼製ラーメン橋脚の耐震性能を評価する手法を確立することを目的とした研究である。昨年度は、鋼製橋脚の地震時動的応答を設計レベルで評価することを目的として、鋼製ラーメン橋脚の動的応答解析を実施し、地震後の残留変位に関する評価法について検討を加えた。その結果、最大応答変位は再現されるものの、残留変位についてはさらなる検討が必要であることが分かった。現在、鋼製ラーメン橋脚を局部座屈による劣化の影響を考慮した梁要素によりモデル化し、動的応答解析を行い、残留変位の評価法について検討を加えているところである。 以上の研究と平行して、今年度は、落橋防止構造の改良が、橋梁の耐震性向上の観点から積極的に行われている点に注目して、地震時の衝撃的な外力による落橋防止構造の破壊や橋桁同士の衝突に関する実験的検討を行った。すなわち、橋桁落下の原因の一つとして、桁間衝突を想定し、桁間衝突が共振現象と密接に結びついているとの判断の下に、兵庫県南部地震で実際に被災した高架橋を1/100に縮小した2径間の橋梁模型を用いて実験的な検討を行った。その際、衝撃現象を把握することにも配慮し、入力する波形の卓越周波数と模型の共振周波数がほぼ等しくなるように模型を製作した。2次元振動台を用いて、橋梁模型にサイン波および地震波を橋軸方向に入力した。入力した地震波は、兵庫県南部地震において神戸海洋気象台で実際に計測された波形をスケールダウンしたものであり、橋桁の両端には加速度計を、橋脚にはひずみゲージを貼り付け、端部の応答加速度および橋脚のひずみを測定した。桁間衝突が落橋に及ぼす影響の実験的検証の結果より、桁同士の衝突現象による落橋の可能性を明らかにすることができ、耐震性向上に果たす落橋防止構造の役割を明確にできた。
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