研究概要 |
平成11年度は,研究計画・方法に基づき,集成材等を使用した近代木橋の架設実績のデータ収集と要因分析,近代木車道橋の3橋に対する実橋実験の実施,実験と解析に基づく近代木車道橋の動的パフォーマンスの実態把握,および走行車両による近代木橋の3次元動的応答解析の定式化を検討した。その結果,下記に示すように,近代木橋に対する貴重な知見と成果が得られた。 1.我が国における約700橋の近代木橋に関して,架設年,歩道橋・車道橋,構造形式,支間長,設計条件,など各要因別データを収集すると共に,橋梁工学的観点から要因分析を行い,構造剛性や性能を検討した。 2.平成11年7月,設計活荷重がTL-20で設計された愛媛県広田村の「神の森大橋」(下路式2ヒンジアーチ橋),奈良県黒滝村の「粟飯戸橋」(下路式タイドアーチ橋),および設計活荷重がTL-25Aで設計された宮崎県小林市の「杉の木橋」(下路式2ヒンジアーチ橋)の3橋の近代木車道橋の静的・動的な実橋実験を実施した。実験データの分析と共に3次元構造解析を行い,実験と解析の両面から静的・動的特性,構造剛性,設計係数の検証を行い,近代木橋の設計法,構造特性,構造剛性評価等に貴重な成果が得られた。 3.近代木橋の動的パフォーマンスの実態把握と鋼橋梁やコンクリート系橋梁との構造特性や振動特性の比較を論究した。その結果,鉛直曲げ1次の固有振動数から評価すると,近代木橋は他橋梁と同等の剛性を有しており,強度や安全性にも遜色が無く,近代木橋の発展に対する工学的に極めて有意な知見が得られた。 4.4径間連続プレストレス木床版橋(木のかけはし)を対象に,走行車両による3次元動的応答解析を実施し,動的応答特性を評価すると共に,設計衝撃係数に検討を加えてより合理的な設計係数の評価ができた。
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