研究概要 |
既設円筒鋼製橋脚の靭性向上の為の補強法として、ヒューズ構造を採用した。この構造は局部座屈の発生位置を特定し、最大荷重を一定限度内に押さえ、橋脚の靭性を向上させる構造である。構造形式は局部座屈発生位置の近傍に矩形鋼鈑を張り付け、座屈発生位置には鋼鈑を張り付けないでおく構造とし、この張り付けない部分の隙間間隔と張り付け板の板厚をパラメータとして最適な条件を求めることを目的としている。 研究では実験と解析を行った。対象とした構造物は実構造の縮小モデルを用い、張り付け板厚を本体と同じ25mmとし、次の4種類を選んだ。 1,無補強 2,隙間幅10mm 3,隙間幅20mm 4,隙間なし 載荷条件はそれぞれの供試体について、単調載荷と繰り返し載荷の2種類行い、全部で8体行った。 一方解析は汎用構造解析プログラムMARCを用いて弾塑性有限変位解析を行い、実験結果と比較した。解析においては張り付け鋼鈑を橋脚本体の中央面より板厚分だけ偏心させてモデルを作成したことにより、実験と同じ座屈モードが得られた。実験と解析の結果はおおむね一致した。 この構造による補強の効果は、隙間幅を狭くするに従って靭性が向上するが一方で耐荷力も増加してしまう。首都高速道路公団の推奨している補強条件が得られるのは、隙間10mm〜20mmが適正であった。
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