研究概要 |
本年度は大阪層群を盛土材とした1)ジオテキスタイル引き抜き試験、および施工された高盛土において,2)高盛土施工に伴う変形量の測定、3)ジオテキスタイルの有無、軟弱地盤の改良効果や盛土部の段階施工の各段階に対して地盤内の比抵抗分布を求める高密度電気探査を実施した. 1)の結果より最大引き抜き力は30.2kN/mとなること,現場密度から求めた鉛直上載応力と土圧計によるそれとは異なっていた. 2)の測定は現在継続中である.現在までの結果ではジオテキステイルがない場合はある場合の約1.5倍程度の変形量がみられる. 3)の調査より,測定比抵抗値から地盤内の地層の変化や地下水面の位置をある程度の範囲内で推定することが可能であることが分かった.さらに地盤が示す比抵抗分布に対して定量的な評価を与えるため,盛土材である大阪層群の砂礫に対し,土の締固めに伴う比抵抗値の変化の測定実験を行い比抵抗値を地盤内の物性値で近似する方法に着目した.その結果,(1)地盤比抵抗は地盤内の含有水分の体積比である体積含水率と地層水の比抵抗を用いて一義的に近似できる.(2)締固め試験に伴う比抵抗値の測定結果より盛土材の最適含水比付近から地盤比抵抗は一定の値に落ち着く傾向があり,地層水の比抵抗が一様であるならば盛土地盤内の比抵抗値はある一定の範囲内にある,(3)盛土材に一定の締固めエネルギーを与えた場合,最大乾燥密度,最適含水比に対する比抵抗値が一義的表現できることから高密度電気探査法が盛土の施工維持管理に対し有用な情報となる可能性がある,ことなどが明らかになった.
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