研究概要 |
個別要素法(Distinct Element Method,DEM)と同様な運動方程式による質点の逐次移動を基本とした連続体の変形解析法を開発した。この手法を流動要素法(Flow Element Method)と名付け、FLEMと略記した。この解析法は、与えられた解析領域の要素集合体への理想化、補間関数による要素内変位の近似的表示および節点力の算出等には、有限要素法(Finite Element Method,FEM)で培われてきた手順を導入している。荷重は、節点を通じて伝達されるが、それとともに生ずる節点の移動は、運動方程式によって記述される。運動方程式の解法に陽形式差分を活用して大容量のマトリックス計算を排除し、微小増分変位の積み重ねとして局所的なあるいは全体的な大変形問題も、効率的に表現する手法である。 本法のように、増分法による定式化に基づく解法では、応力やひずみ、あるいはそれらの速度等に観測する座標系の運動に依存しない性質すなわち客観性(objectivity)が求められる。そこで、客観応力速度としてJaumann応力速度を導入し、理論解のわかっている純粋剛体回転や単純せん断変形の解析を実施した。さらに、この結果に基づいて、増分変形中は要素に埋込まれた局所座標系で変形を追跡するが、各増分段階での節点の移動には、空間固定の全体座標系を用いた解析手順を開発した。また、この手法の実用面への適用性を拡張するため、流動要素-個別要素法結合解析の開発、結合解析手法の3次元プログラム化にも着手し、公表例に見られるような成果を得た。
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