従来型の平面掘削をする場合のT.B.Mビットの掘削効率と比較して、拡幅型T.B.Mビットの端面掘削をした場合の掘削効率が極めて高くなることを実験的に明らかにした。ここでは、まず2自由面をもつ厚さ15cm、直径32cmのモルタル供試体、大谷石、安山岩および花崗岩の円周エッジ部分において、切削深さ2-10mm、切削幅5-50mmの各組合せの位置にセットされたディスクカッタビットを用いて切削実験を実施した。ビットは直径15cm、厚さ1.5cmの鋼材S45Cで製作されており、先端頂角はπ/6、π/4、π/3 radの3種類について試験した。これらの種々の切り込み幅、切削深さにおいて、3種類のカッタビットに作用する接線方向力、向心方向力および垂直方向力をそれぞれ計測するとともに回転動力および推進動力を算定した。回転および推進動力の和で与えられる単位時間当たりの掘削仕事量を計測した単位時間当たりの掘削土量で除することによって求まる掘削比エネルギーについて考察した。その結果、掘削比エネルギーは掘削深さの増加とともに増加するが、切り込み幅の増加とともに指数関数的に減少することが判明した。なお、カッタービットの先端頂角の影響はあまり見られなかった。なお、掘削比エネルギーを最小とする切り込み幅/切削深さ比率は約5であり、この組合せにおいて最も効率よく掘削ができることが明らかとなった。その結果、この端面掘削方式での掘削効率は、平面掘削時と比較して、10〜50倍程度向上すること、およびビットの摩耗量が格段に減少することが実験より判明したので、今後効率の高い新しい掘削機械の開発を可能ならしめるものと確信する。
|