平成11年度は研究計画に基づき大学周辺より採取した関東ロームに対して銅イオン(Cu^<2+>)および鉛イオン(Pb^<2+>)によるカラム試験を行い両金属イオンに対するロームの吸着特性について検討を行った。カラム試験による吸着特性の把握においては、流出間隙体積相当量(1PV)のイオン溶液を試料土に浸透させた後、試料中でのイオン溶液の保持を一定時間保ち、その後カラム下端に負圧を作用させて間隙中のイオン溶液を脱水させる方法をとった。注入溶液のイオン濃度は、両イオンとも1mg/L〜20mg/Lの範囲で4〜5段階変化させて行った。実験から、銅および鉛イオンに対するロームの吸着特性はFreundlich型の吸着関数に近いことが確かめられ、比較のため実施した塩化カルシウム溶液(CaCl_2)によるカラム試験結果からも吸着性イオン(Ca^<2+>)と非吸着性イオン(Cl^-)の差異が明瞭に得られ、本研究で用いた試験法の妥当性を確認した。 次に、関東ロームにおける重金属イオンの移流-分散特性を把握するため、流れ分析用イオン電極とフローセルを用いたカラム実験を行った。浸出溶液の累積間隙体積に対するイオン濃度の破過曲線を描き、上記の吸着関数を取り込んだ移流-分散方程式の理論解との重ね合わせによって分散係数および遅延係数を評価した。その結果、分散係数はイオン種によらず溶液の浸透流速の1次関数で近似できることが示された。平成12年度は引き続き補完データの収集とともに不攪乱試料に対する検討を行う予定である。
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