道路盛土のような部分載荷を受けた軟弱地盤では、せん断変形に伴う即時沈下と体積変形に伴う圧密沈下が生じる。また、この場合盛土の載荷速度が非常に緩速でない限り地盤内各点の有効応力経路はK_0線から離れ、限界状態線との間を移行すると考えられる。このように道路盛土を想定した場合、宅地造成のような一次元圧密と異なり、盛土施工時に、よりせん断変形もしくは側方流動を受けている可能性が十分考えられる。そこで、平成11年度の研究では、プレロード載荷時の異方圧密特性の把握は本研究を進める上での基本事項として道路盛土を想定した異方圧密試験を実施した。一次元と多次元における圧密特性、特に長期沈下の要因である二次元圧密特性について調べた。その結果、(1)異方圧密では軸ひずみで定義した二次圧密は、体積ひずみで定義した二次圧密ならびにK_0圧密時の二次圧密より大きい。(2)異方圧密条件下の二次圧密は、体積変化とせん断変形の2成分に分けて考える必要性等の知見を得た。(平成12年度第35回地盤工学会研究発表会にて発表予定)次にプレロードによる異方圧密履歴のことなる条件下よりK_0除荷試験を行い、除荷時の膨張特性を検討した。その結果、(1)異方圧密時のK(主応力比)が小さいものほど軸ひずみ膨張量は少なくなる。(2)K_0圧密・膨張試験より求められる除荷時の静止土圧係数K_<0S>値より小さい。(3)膨張指数kはプレロードの大きさに依存する。したがって、プレロード載荷圧密時の有効応力経路の違いがプレロード除荷後の静止土圧係数および膨張特性に影響を与えるこを実験的に明らかにした。 平成12年度では、試作した平面ひずみ三軸試験機でさらにプレロードのメカニズムを実験的検討すると共に実験より得られた結果を基に現場データによる数値シュミレーションの解析的検討を行う。
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