研究概要 |
これまで研究代表者が行ってきた粒子形状からせん断強度を推定する研究に関しては,実用化の見通しが立ってきたものの,データ数が少なく,また,粒子形状の計測には高価な装置とある程度の熟練を要する。したがって,本研究ではデータの蓄積とその粒子の写真撮影を行い,その写真に基づいて粒状体のせん断強度を推定できる簡易図表を提案することを最終目的にしている。さらに,自然に堆積する砂の粒子形状を含む種々の特徴を分析し,これらの性質が運搬距離や海進・海退などの堆積環境から受けた影響を明らかにし,淘汰や粗粒化・細粒化による自然堆積砂の形状などの特性の変化を見いだせれば,砂の堆積深度や位置のみからせん断強度の推定が可能になるので,その手がかりをつかみたいと考えている。そのために,4年間の継続研究の2年度は昨年度の研究成果を踏まえ,以下の研究を実施した。 1)〈既存データの分析〉 せん断中の初期,ピーク,残留に至る状態で動員されている内部摩擦角を,粒子接点角やダイレイタンシー関係から推定するなど,既存のデータをさらに詳細に分析した。特にアルミ丸棒を用いた2次元モデル実験では,せん断過程をビデオカメラで撮影し,その解析を行った。 2)〈粒子の写真撮影〉 データ蓄積のために,顕微鏡下での写真撮影を行い,最終目標の簡易図表作成の参考のために写真を保存した。また,堆積環境推定のために砂の形状測定や鉱物分析を行った。 3)〈濃尾平野粘性土のコンシステンシー限界の測定〉 濃尾平野の堆積環境推定のために濃尾平野ボーリング試料のコンシステンシー限界を測定した。 以上より,最終目標である簡易図表作成の目処が立った。また,粘性土のコンシステンシーはフォールコーン試験が精度の点で優れていることを提案した。さらには,簡易液状化判定に必要なパラメータを堆積環境を考慮すれば,精度よく推定できることが確かめられた。
|