研究概要 |
平成12年度の研究では,前年度の測定方法に粒子の大きさや質,測定対象の波の選択等に改良を加え、風波のトラフレベルより上の高さを含めた水面近傍の流速を詳細に測定し、位相20度ごと及び1周期平均の鉛直分布を求めた.その結果 (1)風波の流速場を対象とした流れ関数法の計算精度についても検討したが,波の軌道速度の主要な成分は非回転成分であることが確認された。(2)移動する水面を基準とする座標について測定した流速を1周期平均して求めた流速の鉛直分布は,波が大きくない場合の吹送流の鉛直分布として従来から知られている対数分布とよく一致することが分かった.(3)静水面を基準とした鉛直座標でトラフレベルよりも上の高さの(水中にある時間だけを対象として)平均流速を求めると、移動する水面を基準として求めた流速の鉛直分布と大きく異なることが分かった. (4)測定した流速の位相平均と1周期平均の差を軌道速度の非回転成分と比較した.その結果両者の差は水面に近づくにつれて大きくなることが分かった.この差は主に軌道速度の回転成分と考えられる.(5)軌道速度の回転成分の効果を無視して,測定流速と位相平均流速の差を乱れと考えその計算を行った結果,乱れは水面に近づくにつれて大きくなることが分かった.位相毎の変化は予想していたほどの大きな変化は表れなかった.(6)1/60(s)間隔の連続画像を用いて測定した風波の波速は,測定した水面粗度の値を用いて加藤(1975)の対数分布の吹送流に対する波速の計算で求めた波速とほぼ一致した.
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