本年度においては、横断歩行者の危険事象として、右折車が接近してくる状況を対象とした。右折車の挙動と横断歩行者の挙動及び利用意織を把握するため、信号交差点において(1)右折車と横断歩行者のビデオカメラによる観測調査(観測項目:接近右折車の速度、位置、横断歩行者の速度、残り青時間、違反の有無)、(2)およびビデオ観測対象となった横断歩行者に対するヒアリング調査(調査項目:右折車に対する不安感、右折車の認識、過去の危険経験、利用頻度、年齢、性別)を同時に実施した。 その結果、不安感と認識は相互の関連が見られ、また、20代および60才以上で割合が高いことがわかった。また、利用頻度が高い場合には、認識の度合いが低いが、それでも不安を感じている傾向が見られた。歩行速度に対する影響分析では、既存研究で明らかにされている年齢および残り青時間の影響を確認したほか、不安感を感じている場合に、また、右折車が直近にいる場合に速度が高くなる傾向を定量的に明らかにした。 これらの関係に関して統計分析を行って有意性を検討するとともに、意思-行動の関連の構造化を行った。 さらに、次年度に向けて横断個所に対する潜在的な危険性の認識に関する調査計画を立案するとともに、本年度の成果の学会投稿の準備を進めた。
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