本年度においては、まず、前年度に実施した横断歩道における横断歩行者に対するビデオ撮影とヒアリング調査の結果を用いて、引き続き分析を進めた。その結果、歩行速度に対して、不安感等の意識量と残り青時間によって説明する重回帰モデルを構築し、その有意性を明らかにした。 さらに、住宅配布による横断歩道環境に関するアンケート調査を実施した。この調査では、横断歩行者の属性、身体的な障害による歩行困難度、などと、横断の実態、またそれに対する意識、さらに信号交差点に関してのいくつかの対策に対する意識について明らかにすることを目的とした。この調査結果の分析により、歩行困難度によって意識も、行動も大きく影響されること、また残り青時間の不足に対しての対策として、青点滅時間の延長よりも残り青時間表示装置の設置の方が、行動に合致し有効であるという意識が強いことが明らかになった。さらに、歩行者と右左折車が同じ青時間を共有することによる衝突の危険性について、極めて強い改善希望の意識を持っていることなどが明らかになった。また、歩行環境の改善として実施されることの多いべンチの設置においては、横断信号を待つ赤時間の間に利用する意向が強いことも明らかになった。 以上のような分析の結果に基づいて、横断歩行者の危険性についての2大要因として青時間の長さが不十分なこと、右左折車との衝突の危険性のそれぞれについて、改善策についての検討と提言を行った。
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