活動べースの交通行動ミクロシミュレーション・モデルの開発については、ツアーコンセプトに基づいて、再現性の高いといわれるニューラルネットワークを用いてモデル開発を行った。新津市を対象として実態調査を実施し、通勤交通データを収集した。モデルシステムは、活動パターン、中問トリップ、活動時間帯、目的地、交通手段の選択からなり、サブモデルを配置する構造について検討し、フィードバックモデルの適合性が高いことが判明した。次に、平成11年11月に実施した長岡都市圏新都市OD調査の平日1日のデータを使用して、ニューラルネットワークモデルの開発を行った。交通行動の選択過程は、主な活動目的ごとに、目的地、活動開始時刻、交通手段、活動時間長、2次ツアー及び中間ストップといった要素を逐次的に選択すると仮定し、一部フィードバックを導入している。個人べースのミクロシミュレーションを行った結果、低い的中率しか得られなかったが、集計ベースでみれば地域の交通需要をおおよそ再現することができた。さらに、通勤活動をおこなう就業者について通勤手段、および就業前と終業後の自由活動について、トリップ発生、目的地、手段、継続時間を推定するモデルを構築した。その結果、就業前と就業後の自由活動時間は、世帯人数および就業地の特性による影響を受け、互に影響を及ぼしていることがわかった。自動車走行ミクロシミュレーションについては、リアルタイムで独立した交差点の信号制御を最適化するシステムを開発した。計算時間を速めるためにヒューリスティックな方法を採用し、バス優先信号をもつ2交差点に拡張した。また、すでに開発した自動車とバスの走行シミュレーションモデルを改良した。長岡市においてバス・HOV専用レーン、バス専用信号が設置されている長生橋西詰めの国道351号線を含む地域に、このモデルを導入し、現状再現性を確認した。そして、バス優先信号制御、流入制限制御を行った場合の効果を算定した。
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