研究概要 |
昨年の高速列車模型実験装置による模型実験では,列車発射装置から発生する騒音のために,圧力場変化の小さな列車軌道から離れた位置ではデータのS/N比がわるくなっていた。そこで,本年度は列車発射装置の軸受け部の改良を行うと共に,発射装置全体を吸音材を内張したカバーで覆う等の低騒音のための改良を加え,模型実験の精度を高める工夫をした。 高速列車が明かり区間の走行時に列車周りに発生する圧力場の状態を,速度ポテンシャル流れのモデルより数値計算し,圧力場の特徴を捉えた。 ポテンシャル流れモデルによるシミュレーション結果を評価するために,シミュレーションのモデルと対応した実車両1/100模型による高速走行実験を行い,ポテンシャル流れモデルによるシミュレーションの信頼性を確認した。 シミュレーション及び模型実験により,高速列車周りの空気流れの状態と圧力場をとらえると共に,軌道からの距離・列車速度による低周波音レベル・周波数等への影響を確認した。 高速列車模型実験装置により,トンネル(緩衝工)入り口付近の圧力場の変化を,トンネル入り口付近に設けた格子状の測定点で測定し,圧力場の時間分布を得た。 山梨リニア実験線において,緩衝工入り口から明かり区間側約100mまでの軌道横の地点で,リニア速度約450km/hにおける低周波音圧波形の測定を行った。この軌道方向の実地調査により得られた低周波音分布により,緩衝工入り口付近の圧力場の変化をとらえた。この結果は模型実験による圧力場の変化とほぼ同様な傾向を得られたことから,模型実験の結果と実高速列車による現象の同一性の確認が得られた。
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