研究概要 |
(1)誘発需要に関する既存の諸研究を概観するとともに,交通需要における誘発交通の一般な概念の整理および本四道路における誘発需要のとらえ方を整理した.さらに,従来の需要予測モデル(本四モデル)を概観し,非集計行動モデルを用いた交通需要予測を行う立場から,四段階推計法の枠組みに従った従来の本四モデルの課題点を整理した. (2)明石ルート供用開始前後の2時点にわたり実施された,住民・一般事業所・運輸事業所を対象とした交通調査データを用いて,供用前後での輸送特性や交通機関選択特性に関する基礎集計分析を行った.住民調査の結果からは,観光目的の本四間移動頻度の増加割合が高いこと,カーフェリーの利用が減少し路線バス・観光バスの利用が増加したことが確認された.一方事業所調査の結果からは,主に短距離・長距離のフェリーから明石海峡大橋への手段転換が起こったこと,品目としては食料工業品や畜産品等の農産品の転換割合が高いことが示された. (3)上記データを元に,供用前および供用後の2時点における交通機関選択に関する非集計行動モデルを定式化し,そのパラメータ推定結果にもとづき,誘発需要に関わる諸要因の抽出を行った.なお,本年度は対象を貨物車交通に絞ってモデル分析を行った.
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