本年度は研究初年度であるので、主として「計画体系の比較」に力点をおいて取り組んだ。 1ドイツの分析 フランクフルト市建設監督官トーマスクリステン氏、区画整理課長ミュラーエッケル氏等の協力を得て、フランクフルト市を題材に都市計画体系とドイツ区画整理(Bauland-Umlegung)の関係について分析を行った。その結果、ドイツの地域・都市計画体系は連邦国土整備法の下、州計画(LP)、広域地方計画(RP)、市町村の建設管理計画(FプランとBプランの2種類)で構成されているが、個人の権利を直接制限するBプランを決定する際にはBauland-Umlegungの部局がその事業性についてあらかじめ検討していることが明らかとなった。また、このBプランはFプランによって大枠を規定されているが、フランクフルトのFプランは広域都市連合(UVF)で決定されているため二層制の計画組織構成が様々な問題をもたらしていること、これまで総合的な土地利用計画と紹介されていたFプランも事業の実施に応じて頻繁に部分修正が行われていることなどが明らかとなった。 2我が国の分析 我が国都市計画のレビューを行うとともに土地区画整理事業の地域別実施状況、都市計画と区画整理の関係について分析を行った。結果としてマクロに見れば人口増加量と区画整理の施行量とは相関があること、一方個別に見れば小規模な都市では未だ未経験の市町村が非常に多いこと、行政の取り組みの差などから同じような都市規模、立地条件でも区画整理事業の実施状況に大きな差があること等が明らかとなった。
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