わが国では、区画整理は、1)空間計画の立案 2)土地の権利関係の整理 3)公共施設の整備を同時に実現する都市整備手法として新市街地の先行的整備に大きな役割を果たしてきた。しかし単なる土地の資産価値増進だけでは今後の重要課題である「既成市街地の再整備」の強いインセンティブとならず、現在多くの困難に直面している。そこで既成市街地でも数多く実施されているドイツの類似手法「Baulandumlegung」との比較を通じて、わが国の都市再開発型区画整理制度のあり方を考察した。(なお、比較研究はフランクフルト市の区画整理担当課長ミュラーエッケル氏、及びF-プラン担当課長アウスマン氏、担当官クリステン氏の協力を得て進められた。) その結果、ドイツの区画整理は建築行為の前提として必要なB-プランを実現する「不可欠な手段」として位置付けられており、その概念には「計画の立案」、「公共施設の整備」は含まれていないこと、公共団体が施行する「手続き」であるため基本的には開発利益の社会への還元を徹底できる差額清算方式をとっておりこれによって街区単位での段階的事業実施を可能にしていること、大規模施設に対しては原則代替地を取得する手法を適用していることなどの相違点が明らかとなり、わが国においても今後、都市計画部局・建築指導部局とのより一層緊密な連携の下、「大規模な事業を公平に運営することを想定して構成されている現在の精緻な事業過程」を「小規模なものを想定した単純かつ簡易なもの」にする必要性が明らかにされた。
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