配送活動の場合には、運送業者は配送活動を開始する前に適切なスケジュールを作成することができ、道路混雑等によって経路や訪問順序を変更する以外は、ほぼこのスケジュールに基づいて実際の配送が行われることになる。一方、集荷活動の場合には、運送業者はトラックがデポ等を出発する前に大雑把なスケジュールを作成することはできるが、このスケジュールはトラックが集荷活動を行っている間に無線・携帯電話等によって荷主から入ってくる新たな集荷要請によって行動の変更を迫られることが日常的であり、スケジュールを現場で適切かつ迅速に修正して対応することが必要となってくる。本研究では、都心部の商業業務地区において集荷配送活動を行っているトラックを対象とし、トラックの行動をトラック同乗調査およびドライバー等へのSP調査を組合わせたハイブリッド型調査手法によって詳細に把握するとともに、この調査結果に基づいて、集荷配送トラックの行動について分析した。まず、集荷活動を行っているトラックの事業所訪問順序ならびに経路選択行動に関する集荷活動モデルを構築した。このモデルは、集荷トラックがデポを出発する時点で用意されている概略スケジュールを与えるものであり、集荷トラックの行動の現状を再現するものである。集荷活動を行っているトラックドライバーは、効率的な輸送に努めているはずであり、このモデルは、総所要時間あるいは総走行距離からみても、経験的な意味での最適化が図られている可能性はある。しかしながら、集荷活動においては、その活動中に新たな集荷要請に対応しなければならないことが多く、これに対して迅速かつ的確に応える必要がある。そこで、次に、総走行距離を最小とする集荷モデルを構築した。このモデルは種々の集荷要請に対応できるモデルであり、動的なモデルである。さらに、このシミュレーションモデルを用いて、多様な時点でもたらされる集荷要請に対する合理的な行動計画について検討した。
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