水道水の内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)問題について、以下の2点を主たる目的として検討した。1)バイオアッセイを導入し、水道水中の内分泌撹乱誘発性の重要成分を特定すること。2)水道水の内分泌撹乱誘発性試験のための試料調製方法を確立すること。 まず、ヒト乳がん細胞にルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだMVLNアッセイを実施可能とした。これを用いて琵琶湖原水およびその塩素処理水を対象とし試験を行った結果、エストロゲン様作用を検出し、塩素によって増大することを示した。水道水の試験法としては、フミン質を濃縮する方法が適切であることをとりあえず指摘した。また、琵琶湖原水のエストロゲン様作用に対しては、エストラジオールおよびノニルフェノールが寄与していると考えられた。
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