研究概要 |
水道水の内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)問題については、重要度の判断をはじめ、水道水の内分泌撹乱誘発性に関するバイオアッセイの方法、水道システムにおける内分泌撹乱誘発性の制御法、など早急に知見を集積することが求められている。まず、ヒト乳がん細胞にルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだMVLNアッセイを実施可能とした。以下、得られた結果を示す。 (1)水道水の内分泌撹乱誘発性試験のための試料調製方法 琵琶湖原水およびその塩素処理水を対象とし、試料水のpHを2とした後、吸着樹脂OASIS-HLBに通水し、ジクロロメタンで溶出した後、エタノールに再溶解する方法が適当であることを示した。琵琶湖原水のエストロゲン様作用に対しては、エストラジオールおよびノニルフェノールが寄与していると考えられた。 (2)オゾン処理の効果に関する検討 オゾン処理は琵琶湖水のエストロゲン様作用を大きくは変化させないが、促進酸化処理を行うと低減した。 (3)活性炭処理の効果に関する検討 粒状活性炭処理により作用は大きく低減したが、塩素処理を行うと作用は再び生成した。 (4)塩素によるエストロゲン様作用の変化について 通常の浄水処理で行われる塩素注入率ではエストロゲン様作用は低下したが、注入率を増大させると逆に作用が増大した。 (5)副生成物との関係について 塩素処理水中から2,4-ジクロロフェノール、2,4,6-トリクロロフェノールを検出、定量した。副生成物としては中間体であることも明らかとなった。
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