1.研究目的 富栄養化現象において、水利用に最も重大な影響を与えるのは植物プランクトンの増殖であるので、植物プランクトンの増殖を抑制することが最も重要である。本研究では、流動が藻類増殖に影響を与える影響を明らかにし、この結果を水質浄化に用いることを目的として研究を行った。 2.研究概要と研究成果 本研究では、円形水路を用いた室内実験と旭川における現地観測を行うと共に、従来行った現地の池での実験結果も併せて検討を加え、以下の成果が得られた。(1)室内実験では、池の水に含まれる植物プランクトンを対象とした混合培養系の実験とクロレラを対象とした純培養実験とを行い、流動の増殖抑制に対する影響の程度が異なるが、どちらの場合も流速が植物プランクトンの増殖を抑制することを確認した。(2)増殖実験の結果を基に、増殖速度式を定式化し、速度式中の各種定数を決定した。混合培養系の場合にはシアノバクテリアが優占種となり、シアノバクテリアは、夜間に死滅が卓越する傾向があるのに対して、クロレラではそのような傾向は認められず、定式化された速度式が若干異なった。(3)旭川の現地観測の解析より、流速10cm/s未満の河道区間では植物プランクトンの増殖が生じ、流速25cm/s以上の河道区間では栄養塩類等の条件は大きく変わらないにも拘わらず植物プランクトン濃度は減少した。(4)現地での流動実験の結果より、流動状態により植物プランクトンの種が変化することが明らかとなった。
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