研究概要 |
組合せ消毒の効果を評価する場合,組み合わせる消毒方法それぞれの単独効果を定量する必要がある。そこで本年度は,塩素およびオゾンをそれぞれ単独消毒剤として用いたときの Cryptosporidium parvumオーシスト不活化能力を評価した。供試C.parvumとして免疫正常ヒト由来のHNJ-1株オーシストを用いて,pH7,20℃で遊離塩素およびオゾンに暴露した。塩素では,遊離塩素濃度約1mg/LにCT値(濃度時間積)で最大10,000mg・min/Lまで暴露し,脱襄活性と,SCIDマウス感染性の継時変化を調べた。その結果,CT値10,000mg・min/L(塩素濃度1mg/Lで7日間)でも,脱嚢活性の低下は0.43log_<10>にすぎなかったが,マウス感染性はCT値2,700mg・min/Lで3log_<10>の低下が認められた。このように,生育活性は低下しないいもかかわらず感染性のみが顕著に減少する傾向が認められたことから,感染性の変化をみるために,計3回の塩素暴露実験を行った。その結果,感染性はCT値の増加に伴って指数関数的に低下すること,感染性の1log_<10>低下に要する遊離塩素のCT値はpH7,20℃で800-900mg・min/Lであることが明らかになった。オゾンでは,オーシスト懸濁液にオゾン化ガスを連続曝気する方法で暴露させた。マウス感染性が脱嚢活性よりも顕著に低下する点は塩素の場合と同様であったが,両者の開きは塩素の場合ほど顕著ではなかった。また,感染性はオゾンの場合もCT値の増加に伴って指数関数的に低下し,1log_<10>不活化CT値はオゾン濃度0.1-1.0mg/Lで1.8-3mg・min/Lの範囲にあった。
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