研究概要 |
本研究では、台風による住宅外装材の強風被害を予測する確率モデルを開発し、それを用いたシミュレーションを行うことによって被害低減に有効な対策を検討することを目的としている。そのため、先ず以下の基本的事項を検討した。 (1)住宅の強風被害の実態把握 1991年台風19号による住家の強風被害調査結果の収集と分析、並びに、1998年台風5号に関連して宮城県名取市に発生した竜巻による住宅の強風被害調査を行い、住宅の強風被害の実態を把握した。 (2)低層建物の風荷重に関する文献調査 低層建物の風荷重に関して、1970年代半ばより1999年までの約25年間に発表された論文約250編を収集・整狸してデータベースを作成した。このデータベースを用いて、屋根に作用する局部風圧の性状を把握し、「局部風圧モデル」を作成した。 (3)台風モデル及び地上風モデルの作成 1954〜1996年の43年間に東北地方に影響を及ぼした台風68個について、気圧場を解析することによって、台風を特性づけるパラメータとその時間的変化のモデル(台風モデル)を作成した。また、局所地形が地上付近の風速に及ぼす影響を重回帰分析によって検討し、台風モデルを用いて計算される傾度風速から地上風速を予測する方法(地上風モデル)を提案した。 次に、上記の「台風モデル」、「地上風モデル」、「局部風圧モデル」、および,屋根葺き材の「耐風圧強度モデル」(被害実態より推定)に基づく新しい強風被害予測手法を提案し、それを用いた一連の被害予測シミュレーションによって、被害率に及ぼす各パラメータの影響を把握した。 なお,本年度は東北地方を対象としたが,手法そのものには一般性があるため,他の地域への適用は可能である。
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