本研究は、火災加熱を受ける鋼構造骨組が終局的な崩壊に至るまでの挙動を詳細に解析することの出来る解析ツールの開発を目的とする。終局火災応答解析法としての先進性、ツールとしての汎用性・実用性を目標として、次の項目を解析対象あるいは組み込み理論として開発を進めている。(1)架構:鋼構造ラーメンおよびブレースを含む骨組。(2)鋼材:SS400、SM490、SN400、SN490。(3)部材断面:H型鋼、角型鋼管、円形鋼管。(4)構成理論:弾性、塑性、高温クリープ、高温破断。(5)力学理論:微小変形理論、Total Lagrange型の有限変位理論、釣合の飛び移り理論。(6)対象崩壊形:柱の曲げ座屈、柱の局部座屈、梁の横座屈、高力ボルト継手の破断、火災層の層崩壊。 本年度の研究内容はコード開発の前年度からの継続、および多岐な計算要求に応えるべく一般的な要素モジュールの新たな追加、即ち汎用化の試みである。前者に対しては、c++援用によるコード体系に対する論理的階層構造の見直しを進め、これを再構築し、改訂版を作成した。後者に対しては、高力ボルト継手要素、および開断面および閉断面部材何れにも適用出来る3次元弾塑性曲げ捩り部材要素を新たに開発し、先のコード体系に組み込んだ。開発途上の最新版コードによると、火災時における鋼架構の曲げ座屈、横座屈、局部座屈、3次元不安定、ボルト破断等が崩壊要因となる応答解析を扱い得る段階にまで達している。
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