研究概要 |
鋼構造建築物の角形鋼管柱とH形断面梁の接合部における曲げモメントは梁フランジ接合部と梁ウェブ接合部によって伝達される.梁ウェブ接合部分が負担する曲げは、柱の幅厚比が大きい場合には梁全体の曲げに対して小さくなり伝達効率が低下する.そこで本研究では、梁ウェブ接合部分を補強し積極的に曲げを負担させ柱梁接合部の性能を向上させることを目的として、梁ウェブ取付け位置における柱内部を補強した.接合部を含む部分骨組架構について実大実験を行い、補強効果を検討した試験体は、角形鋼管柱BCR295にH形鋼梁SN490Bを接合した逆丁字型とし、柱幅は400mmと350mmの2種類とし,梁材はH-500×200×10×16である.梁ウェブ接合部分における補強方法は梁ウェブが接合する裏側に縦スチフナ設ける形式を採用した.縦スチフナは柱側面と隅肉溶接している.試験体は,無補強の試験体に加えて,柱の板厚を数種類設定した計8体である。加力方法は梁頂部に油圧ジャッキによる正負漸増繰返しの水平荷重を作用させるものである。実験の結果から,柱400mmの無補強の試験体では梁フランジが脆性的な破断を生じ,変形能力は小さい.これに比べてウェブ接合部分を補強したの試験体は梁の局部座屈で終局状態となり変形能力に優れた挙動を示した.柱350mmの試験体ではすべて梁フランジの局部座屈で終局を迎えた.これより柱の補強は柱の幅厚比が大きい場合に特にその効果が大きいといえる.柱幅が350mmのものについては、補強により耐力は上昇するが、梁フランジの局部座屈を早めるため塑性変形能力は若干減少することが分かった.
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