(1)コンクリート・モルタルの疲労破壊限界 まずコンクリート・モルタルの、疲労破壊の限界を明らかにする必要があり、数段階の応力レベルでの疲労試験を行った。両材料ともσ/f=1-a(logN)bの疲労破壊曲線式で表すことができることを示した。 (2)低応力繰り返しの評価 試験体を破壊までには至らせずに疲労させることだけを目的とし、荷重レベルを数段階とし、繰り返し回数は、疲労破壊しない範囲になるように設定した低応力繰り返し試験を行った。この疲労を評価するために、次式で表す疲労進行度(Degree of fatigue)を提案した。D.F.=σ/f+a(logN)b。この式により応力レベルと繰り返し回数を統一的に取り扱うことを可能とした。 (3)疲労進行が細孔構造に及ぼす影響 疲労の影響を受けた領域から試料を採取し、細孔の領域ごとに細孔量と疲労進行度との関係を調べた。その結果コンクリート・モルタルのいずれも疲労が進行するに従い、細孔量は増加する傾向が見られるが、特に10-100nmの細孔量が増加しており、いわゆる毛細管空隙の小さい領域での破壊が進行しているものと推定された。 (4)疲労進行が中性化に及ぼす影響 疲労を受けた試験体の促進中性化試験を行った。疲労が進行しても載荷の影響の少ない領域での中性化深さはほとんど変化していないが、載荷領域での中性化深さは次第に深くなる傾向が見られる。中性化は毛細管空隙量に依存するといわれているが、これは前述の10-100nmの空隙量増加によると推定された。
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