研究概要 |
1.目的 変動軸力を受けるSRC柱の変形性能を,一定軸力を受ける場合の評価式を援用して評価する方法の妥当性を明らかにすることを目的とする。 2.研究計画 変動軸力を受けるSRC柱の変形性能の評価法を検討するために,SRC柱試験体の静加力実験を計画した。試験体は6体であり,同一形状,同一材料とし,曲げ降伏するよう計画した。軸力条件は,水平力に比例する変動軸力(N/Nu^<*1)>=0.3〜-0.1,0.5〜-0.2),ならびに一定軸力(N/Nu=0.3)の3ケース,横力条件は,断面主軸方向横力および斜め横力の2ケースとし,漸増振幅交番繰り返し載荷で行った。さらに,文献資料からの実験データを含めた分析により,SRC柱の変形性能について分析した。 3.研究結果 本実験により以下の知見を得た。全試験体とも曲げ降伏した。N/Nu=0.5〜-0.2の場合は,N/Nu=0.3〜-0.1の場合およびN/Nu=0.3(一定)の場合と比較して,最大耐力がやや低く,変形性能の指標である限界部材角^<*2)>もやや小さくなったが、最低でも,限界部材角は7×10^<-2>rad.であり,一般のRC部材より高い変形性能を示した。横力載荷条件は実験結果に大きな影響を及ぼさなかった。文献資料を含めた分析から,以下の知見を得た。正加力側における最大圧縮軸力比と鉄骨曲げ耐力比をパラメータとすることにより,一定軸力の場合の評価法で限界変形部材角を概ね評価できる。 ^*1)累加降伏軸力を基準とした軸力比。圧縮が正。^*2)最大耐力の80%まで強度が低下する部材角 4.まとめ 変動軸力および一定軸力を受けるSRC柱試験体に断面主軸方向および斜め方向横力を入力する静加力実験を行い,変形性能に関する基礎的データを得た。文献資料を含めた検討により,変動軸力を受ける場合についても,一定軸力における変形性能の評価法を概ね適用できる。
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