研究概要 |
コンクリートを充てんした鋼管(以下CFTと略称)柱が優れた耐震性能を有することが近年の研究で明らかとなり,ビルタイプの中・高層建築の柱にCFT柱が,高い頻度で用いられるようになってきている.しかし一方で,露出中脚の構造自体が剛性・耐力・靭性に乏しい形式であること,鋼管の場合は,閉断面であるため,柱のベースプレートへの溶接部近傍に引張応力が作用すると,ポアソン効果による直行方向ひずみの逃げ場がなく,このため溶接部に破断が生じやすいこと,等から露出型CFT柱脚の研究の重要性が指摘されている. 上記のようにCFT柱材のもつ優れた耐震性能を十分発揮させるためには,剛性および耐力,変形能力に優れ,施工性の高いアンカーボルトと埋め込み部を併用した半露出型柱脚の開発が不可欠であると考え,本年は,実験変数を埋め込み長さをとり,4種類の埋め込み長さを持つ試験体の単調載荷実験を行い以下のような知見を得た. 1)埋め込み長さが0の,露出型柱脚は,設計時の意図通り,引張側アンカーボルト部に破壊が集中し,終局状態に至った. 2)埋め込み長さが必要埋め込み長さの4分の1とした試験体は,基礎ばり部のコンクリートに大きなひび割れを生じ,初期剛性の低下が見られた.しかしながら,最終的に引張側アンカーボルトの破壊で終局状態に至ったため,耐力は露出型柱脚とほぼ同じ値であった.
|