5種類の幅厚比(B/t=28〜219)を有する角形鋼管により横拘束された高強度RC柱(コンクリートの設計強度が60MPaと100MPa)について、一定軸力下における単調曲げ実験を行い、鋼管の板厚が拘束高強度RC柱の終局曲げ性状に及ぼす影響について、以下の結論を得た。 1)FC=60MPa級の高強度コンクリートを用いたRC柱に充分な曲げ変形能力をもたらすには、軸力比n=0.2以下の低い軸力を受ける場合はB/t=219の非常に薄い角形鋼管を用いて拘束すればよいが、軸力比n=0.3又は0.5と高くなると、それぞれB/t=83又は61以下の角形鋼管を使用する必要がある。 2)FC=100MPa級の超高強度を用いたRC柱の場合、柱に安定した曲げ挙動を期待するには、軸力比n=0.1を受けるときにはB/t=83程度の比較的薄肉の鋼管を用いればよいが、軸力比n=0.3以上となるときにはB/t=43程度以下の角形鋼管の使用を要する。 3)角形鋼管により横拘束された高強度RC柱の終局曲げ耐力は、使用する鋼管の板厚の増加に伴い上昇するが、その上昇量は柱に作用する軸力の大きさの影響を強く受ける。軸力比n=0.2以下の低軸力の場合は、板厚の増加に伴う終局曲げ強度の上昇量が僅かであるが、軸力比n=0.3以上の高軸力の場合は、それが顕著となる。 4)鋼管横拘束RC柱の圧縮域におけるコンクリートの曲げ耐力時の終局ひずみは、鋼管による横拘束効果を受け、その実測値が0.36%〜0.99%にあり、現在設計規準(ACI規準又はAIJ規準の付録)に推奨されている0.3%という一定値を大きく上回っていた。拘束コンクリートの終局ひずみは、鋼管の拘束度合いにほぼ線形比例して大きくなるが、軸力の大きさの影響を殆ど受けない。
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