研究概要 |
4種類の径厚比(B/t=62〜219)を有する円形鋼管により横拘束された高強度RC柱(コンクリートの設計強度が60MPaと100MPa)について、一定軸力下における単調曲げ実験を行い、円形鋼管の板厚が拘束高強度RC柱の終局曲げ性状に及ぼす影響について、以下の結論を得た。 1)円形鋼管による拘束効果は、角形効果のそれよりも遥かに高く、FC=60MPa級の高強度コンクリートを用いた円形RC柱に充分な曲げ変形能力をもたらすには、軸力比n=0.4と0.7の高い軸力を受ける場合でもそれぞれ径厚比D/t=219と116の非常に薄い円形鋼管を用いて拘束すればよい。 2)FC=100MPa級の超高強度を用いたRC柱の場合、柱に安定した曲げ挙動を確保させるために必要な円形鋼管の肉厚は柱に作用する軸力の大きさにより左右される。軸力比が0.2,0.3,0.5,と0.7の場合は、径厚比D/tがそれぞれ219,163,83,と62の円形鋼管を使用すればよい 3)角形鋼管横拘束柱と同様に、円形鋼管横拘束高強度RC柱の終局曲げ耐力は、使用する鋼管の板厚の増加に伴い上昇するが、その上昇量は柱に作用する軸力の大きさの影響を強く受ける。軸力比が低い場合は、拘束柱の曲げ強度の上昇量が僅かであるが、軸力比n=0.3以上の高軸力の場合は、それが顕著となる。 4)円形鋼管横拘束RC柱の曲げ圧縮域におけるコンクリートの終局ひずみは、鋼管による横拘束効果を受け、その実測値が0.82%〜1.94%にあり、現存設計規準(ACI規準又はAIJ規準の付録)に推奨されている0.3%という一定値を大きく上回っていた。拘束コンクリートの終局ひずみは、鋼管の拘束度合いにほぼ線形比例して大きくなるが、軸力の大きさの影響を殆ど受けない。
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