平成11年度は、次の3つの課題をほぼ終了させ結果を公表している。 1.損傷に寄与する地震入力エネルギーの予測:本研究で最も基本となる量である損傷に寄与する地震入力エネルギーの定義を再検討し、塑性変形によって見かけの固有周期が伸びる影響まで含めて、1自由度系および多自由度系の損傷に寄与する地震入力エネルギーが疑似速度応答スペクトルを使って予測できることを明らかにした。この結果の一部は日本鋼構造協会鋼構造論文集に発表しており、日本建築学会構造系論文集や構造工学論文集に掲載予定となっている。 2.半サイクルの最大入力エネルギー率とBilinear型1質点系の最大変位応答:損傷に寄与する地震入力エネルギーの入力過程(時刻歴特性)を明らかにし、半サイクルの最大入力エネルギー率として定量化した。また、Bilinear形の復元力特性をもつ1自由度系を考察の対象にして、強震を受ける系の最大変形を予測する方法を確立した。この結果は日本建築学会構造系論文集に掲載予定となっている。 3.任意形重層骨組の魚骨形骨組置換:任意層数任意スパン数の骨組を、静的弾性解析結果と構成部材の全塑性耐力だけを用いて、魚骨型骨組に置換する方法を確立した。この結果は日本建築学会構造系論文集に発表している。 上記の他、魚骨形骨組の1質点系置換についても理論的検討を進めている。この1質点系への置換の検討結果は、梁降伏型の成立条件を理論的に明らかにするものと考えている。また、バイリニア型1質点系の残留変形についても、数値解析と理論考察の両面から検討を進めている。
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