研究概要 |
実際の木製合成梁の使用状況では,長期にわたる鉛直荷重が作用し,クリープによるたわみの増大が問題となる。製材や集成材を使用した梁のクリープ挙動に関する研究は数多くなされているが,多くの小径部材を組合わせた木製合成梁のクリープ特性については,いまだ不明な点が多い。そこで,梁の型式(トラス梁・ボックス梁),上下弦材の継手の有無をパラメータに4体の実大合成梁(4間,7.2m)を用いて,長期載荷実験を実施した。 載荷荷重は,事前に行った静的載荷実験の結果から,梁中央たわみがスパンの1/600となるように設定した。変位および実験室内の気温・温度の計測は,1日のうち最も気温が低いと思われる午前2時と,最も気温の高いと思われる午後2時に行った。 その結果,ボックス梁試験体では継手の有無にかかわらず,載荷開始後10日ほどで変位の進行が緩やかになった。これに対し,トラス梁試験体では,載荷後15〜18日頃まで変位の進行が大きいことがわかった。また,いずれの試験体においても,気温の高い日中には変位が進行し,気温の低い夜間には変位が戻る傾向が顕著に見られた。各試験体の特性を相対クリープで比較すると,トラス梁では載荷後約50日の時点での値が1.5〜2であるのに対し,ボックス梁では,1.4以下に抑えられており,ボックス梁のほうが優れたクリープ特性を示している。 今後も,長期的に計測を続け,継手接合部の挙動と梁全体の挙動の関係についても検討していきたいと考える。
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