これまで提案してきた構造物の新しい形態形成解析手法である"自律分散有限要素法"の有効性および適用性を、本年度は空間構造物であるトラスドーム(112部材)の最小重量設計問題に対して検証してきた.その結果得られた知見を以下に示す. (1)簡単な部材断面積に関する局所ルールを導入した本手法によって得られた結果は、現在多用されている遺伝的アルゴリズム(GA)による結果とくらべて、結果の精度、計算時間等に関して極めて良好である. (2)本手法による結果は、導入した局所ルールの特性により全応力設計解であるが、GAによる最小重量設計解との比較において、やはり最小重量設計解を与えることが明らかになった. (3)本手法による断面積の全応力度は全て1.0となり、GAによる部材の全応力度の達成度とくらべて極めて精度が高い. 以上の成果を元に、現在本手法における局所ルールの多様化および計算の並列化を検討し、生物的アプローチの可能性を追求している.
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