研究概要 |
昨年度に引き続き構造物の新しい形態形成解析手法である自律分散有限要素法の有効性および適用性を検討するための研究を推進してきた。 本年度に得られたいくつかの知見について以下に示す。 (1)自律分散有限要素法の特性 トラス構造物の最小重量設計問題において本手法の適用性を系統的に検討すべく多用なトラスモデルを解析した。得られた一連の結果から、一つの節点に接合している部材数に応じて,解の収束性の傾向に関する議論が可能となることを把握できた。 (2)自律分散有限要素法における局所ルール 本手法における重要な概念である"自律性"を与える局所ルールについて本年度では、二つのルールを構築して数値計算を実行した。従来から提案しているルールは、設計変数の変化を直線的に与えるものであるが,今回は,設計変数の変化の多様性を確保する事を目的としたものである。この新しい局所ルールの有効性を検討するために二つの異なったタイプの平面トラスを選び多くの結果を収集することができた。その結果、今回導入した局所ルールによって、多様な形態を創生することが出来た。 (3)生物的アプローチの可能性 自律分散有限要素法によるトラス構造の最小重量設計問題を解析し,その得られた結果を他の特に、GAによる結果と比較した際に、GAよりも解の多様性を構成できる免疫アルゴリズムが存在する事が分かった。この手法は、生物の特性である"免疫"に基づいた新しい計算アルゴリズムである。この新しいアルゴリズムと本手法との融合を計ることによって、生物的アプローチの可能性が広げられる。
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