研究概要 |
生活必需施設であるゴミ処理場に不可欠な排煙用煙突は,近年,設備構造,大気汚染の問題等から高層化が著しいものとなっている。高さ50〜100mの外筒型RC造高層煙突に関する振動性能を明らかにして,振動抑制の方法を提示すること,さらに構造設計法を検討することが本研究の目的である。 本年度の研究により得られた成果を要約すると,以下の通りである。 1.既存の外筒型RC造高層煙突2基に関して,常時微動時,人力加振における振動測定を行った。これまでの振動測定データと合わせて,10基の実測データを集積し,振動特性を検討した。 2.旧来のライニング型煙突と異なり,外筒型RC造高層煙突における常時微動時の1次減衰定数は1%をかなり下まわることが明らかとなった。 3.固有振動数は,設計時に実際の値を正しく推定できることがわかった。 4.人力加振によって煙突最上部で30gal程度の振幅レベルでの自由振動を発生させることができた。この振動測定によって,1次減衰定数には大きな振幅依存性があること,1次固有振動数においても振幅依存性は確認できるものの工学的には意味をなさない程度であること,などを示した。 5.2,4の結果,減衰定数は一般建物よりもかなり小さいことから,煙突全体の減衰性能を向上するために,振動抑制の可能性を現在検討中である。粘性型,粘弾性型,あるいは付加質量型のダンパーを適用することによって,パッシブな振動抑制の効果を定量的,定性的に解析している。 6.外筒型RC造高層煙突の耐震設計・耐風設計に適用されている設計荷重分布,設計耐力の設定を再検討して,5の成果と合わせて,構造設計法の系統的な把握・整理を行っている。合理的な構造設計法を次年度に提案する予定である。
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