研究概要 |
本研究では、正方形断面建物2棟の組合せについて風洞実験を行い、後流側の3次元建物モデルに作用する風方向変動風力、風直角方向変動風力,および変動ねじれモーメント等を測定し、後流振動の発生領域およびその原因の解明を行った。実験は境界層流中で行い、2棟の配置に関しては、約140通りについて検証した。次いで、空力制御装置(ローター)を風上側模型に設置して、その回転数の変化に応じて後流側模型の風力特性にどのような変化が現れるのかを詳細に検討した。ローターのない状態では、風上側模型が風下側模型の正面付近に位置するとき、遮風効果により風方向風力が減少するが、その他の広範な領域で風直角方向風力が増加する。特に、後流側に建物幅の5倍前後離れた領域でこれが著しい。これに対し、上流側建物のローターの回転数を増加していくと、剥離せん断層の再付着効果が増大し、風下側模型の風直角方向風力が小さくなり、そのパワースペクトル密度のピークが高周波側へ移行し、前縁剥離から後縁剥離型へ移行することなどが判明した。ローターの制御による後流振動の抑制効果は極めて顕著である。この手法は、実際の建物の振動抑制方法としては、必ずしも現実的ではないが、いわゆる後流振動の複雑なメカニズムの解明には極めて有効であり、有益な知見が得られた。既に得ている2次元の結果、およびPOD解析結果と合わせて、得られた結果を総合的に評価し、連棟建物の風荷重評価手法の確立のため、貴重な資料が提供できたと考える。
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