研究概要 |
1995年兵庫県南部地震における淡路島津名町・北淡町・一宮町の約3,200棟の住宅被害調査に基づいて、木造住宅の構造、形式、規模、建築年代などの建物特性と被害状況のデータベース化を計った。さらに、住宅の特性や被害状況の地理的分布を見るために、SISシステム(Spatial Information System)を導入し、住宅地図情報のデータベース化を計った。調査区域の建物形状を含めて、建物個々の属性と被害調査データベースとを結合することによって、視覚的に被害分布特性を容易に観察できるようになったが、地震被害と大きな相関を持つ地盤データを取り入れることは、現時点では、困難であり、今後の検討課題とされた。 一方、地震被害想定の具体例として、広島県福山市の中心街区である、福山駅周辺の建物分布状況を調査し、地震被害想定マップの作成を行った。さらに、淡路島における地震被害状況だけでなく、神戸市、西宮市などにおける木造住宅の地震被害状況も反映させることによって、耐震性能評価尺度の作成を行った。 さらに、鳥取県西部地震における木造住宅被害調査を実施して、山間地である岡山県新見市千屋地区の被害調査分布図を作成した。豪雪地帯に適応した木造住宅の特性を知ることができたのは有意義であった。 木造住宅の耐震性能を評価するには、木造住宅の主要な耐震要素である壁の特性を把握する必要があり、特に、筋違い壁の耐力特性を明らかにする必要があり、筋違い形式、筋違い端部接合形式などをパラメータとする木造軸組試験体の水平耐力特性に関する種々の加力実験を行い、筋違い入り軸組の復元力特性の数式表現を得ることができた。
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