本年は、実験を中心にインテリジェントセンサーとしての機能が果たせるように、各種の環境条件の影響を人間側の反応とその情報処理としての筋道の整理を行うために、実験により、多くの環境条件の組み合わせの複合的影響の定量化につとめた。そして、大規模な都市域での実測調査を行い、センサー利用範囲の推定を行ってきた。そして、風速や気温変動の大きい都市域の特性を考慮し、また水面や緑地、そして建物形態が作る環境の影響についてもその影響度合いの把握につとめた。すなわち以下のような知見を得ている。 1.気温と光・色条件の組み合わせ影響について、夏季と冬季にわたる実験を行い、熱的快適性に及ぼす色相の影響があり、明るさに対する満足度は従来の色温度と照度の組み合わせよりも拡大し、総体的快適性の温度依存度が大きいことを明らかにした。季節的影響を無視しえない。 2.人間の体感温度に及ぼす風速と着衣量の影響をサーマルマネキンを用いて、低風速域から高風速域までを明らかにし、着衣の着装条件の差、着衣ゆとり度の差も風速との相互影響があることを定量的に明らかにした。 3.従来は定常的な条件(特に湿度では)のみ取り扱うことが多かったが、実際環境の評価をインテリジェントセンサーで行うには、冷房・暖房立ち上げ時などの影響をもその範疇に入れる必要がある。気温・湿度のランプ変化の影響を明らかにしている。湿度と気温の影響の等価性の検討も定量的に行った。 4.以上により、不明であったあるいは定量的に求められていなかったデータを確保することができ、インテリジェントセンサーのソフト開発にこれらを組み込む作業を行った。物理的センサーと処理ソフトとの連携についても検討を行った。
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