1.了解度測定用音源の開発・試作 了解度試験用単語リストは、NTT基礎研究所における日本語語彙の親密度研究成果をもとに東北大学電気通信研究所で作成された「親密度と音韻バランスを考慮した単語了解度試験用リスト」を採用し、NHK男性アナウンサーの協力を得て同リストを無響室内で録音した。録音は親密度7.0〜5.5および同5.5〜4.0の4モーラ単語をそれぞれ10リスト(各50語)に開しておこなった。また、親密度7.0〜5.5のリストに関しては別に録音したキャリアフレーズを編集作業により付加して作成した。オリジナルの録音は5.5モーラ/秒であるが、これに話速変換を施し3.7および7.8モーラ/秒の音源も作成した。 2.試作した音源の妥当性の確認 試作した音源を用いて了解度試験をおこない、その妥当性を検討した。キャリアフレーズの有無により了解度は有意な差を示しており、キャリアフレーズ付き音源が有用であることを確認した。親密度に関しても了解度は有意な差があり、これを統制したリストを用いることで測定の精度向上が期待できることがわかった。発声レートによる了解度の違いは、残響が長い音場で大きくなることが確認できた。親密度、発声レートを統制し、キャリアフレーズを伴った了解試験用音源としての基本的条件を満たす音源を一定準備できた。しかし、話速変換した音声の品質に若千の問題があり、来年度この点に関してさらに検討を続ける予定である。 今年度は概ね研究計画通り順調に遂行できた。来年度以降の研究は、予定通り進めることが可能である。
|