研究概要 |
大村湾沿岸に於ける生活排水処理対策は、(1)公共下水道(2)集落排水処理施設(3)合併処理浄化槽(4)雑排水トレンチ等、様々なレベルのメニューが用意され、それぞれに対し補助事業が実施されてきた。平成11年度は生活雑排水処理施設(土壌トレンチ)の処理性能などの調査を主に実施し、リン吸着能力の耐用年限が5年〜7,8年であることを明らかにした。平成12年度は、当初予定していなかった「自然浄化機能を活用した伝統的排水処理形式」の事例調査((1)佐賀県のクリーク地帯の排水処理形式である「ユドネ」の分布とその処理のメカニズム(2)長崎県諌早湾沿岸T町の「井出」の伝統的水利用システム)を併せて実施した。かつて佐賀県のクリーク地帯に普及した「ユドネ」はクリークの水質保持のために不可欠の物であった。大村湾沿岸に普及した「土壌を用いた排水処理施設」は、この「ユドネ」のような自然条件を巧みに利用した伝統的排水処理形式の延長上に位置づけられる。「ユドネ」などの処理形式は現在ほとんど見ることが出来なくなったが、これらは今後の排水処理対策を考えていく上での重要な資料、もしくは一つの選択肢となりうると考える。
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