本年は以下の調査研究を実施した。 1.北海道と青森地域における雁木併設型集合住宅の雁木の利用実態と生活型共用空間の役割に関する調査研究 北海道と青森県に近年建てられている雁木(屋根付歩廊)の付いた公営集合住宅をそれぞれ3団地ずつ対象にして、雁木の通路空間としての利用度、子供の遊びや主婦・高齢者などの散歩、あるいは近所の人達のおしゃべりや集いの場などの生活空間としての使われ方を、アンケートおよび観察記録法により調査を行った。その場合、雁木の効果をできるだけ客観的に知るために、夏と冬の利用の仕方の季節差、また連続度合いによる利用形態の差異をとらえるように努めた。この調査により雁木の断面・開口部などの形状、住棟をつないでいるその連続度、また雁木と中庭空間との関係のさせ方などにより、利用形態が大きく異なることなどが判明した。 2.廊下型集合住宅における居住者の表出行為と住戸前スペースのあり方に関する調査研究 札幌市内にある廊下型高層集合住宅団地を3団地(中廊下型1、片廊下型2)取り上げ、各廊下の住戸前スペースにおかれている植木鉢類のほか、灯油タンク・笠・家具などの生活用品や備品、また多様な玄関飾りなどの表出状況を詳細に記録するとともに、居住者の玄関前空間などに対する住要求を把握した。こうした表出状況から、玄関前スペースや住戸近傍の通路スペースなどに北国独自の空間要求のあることが明らかになっている。
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