研究課題/領域番号 |
11650621
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野口 孝博 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10113599)
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研究分担者 |
森下 満 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10091513)
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キーワード | 雁木 / 集合住宅計画 / 積雪地域 / 北海道 / 青森 / 共用空間計画 / 冬の生活 / 雪処理 |
研究概要 |
本年は国内・国外において以下の調査研究を実施した。 1. 青森地域の雁木併設型公営集合住宅における雁木の夏期利用実態及び冬期の積雪状況と利用形態に関する調査研究 青森県に近年建てられた雁木付き公営集合住宅を2団地選定して夏冬の利用実態調査及び冬期の積雪状況・雪処理に関する実態調査を実施した。これにより、青森地域に多い住棟間の連続度が高く、かつ幅が広く片側に壁があるために領域性の高い雁木においては、居住者の雁木の生活空間利用の程度が非常に高いことが明らかになった。小さい子供を連れた母親が雁木内を散歩したり、数人の子供たちが群れて遊び、また主婦連がおしゃべり空間にするなど、コミュニティスペースとして定着する可能性が見える。その一方で問題点もとらえられた。よかれとして設けられた雁木のアルコーブ空間が非行少年グループのたまり場になったり、また住戸近傍での騒音、プライバシー侵害の問題もある。雪処理の問題も大きい。青森方式は、北海道の場合ほど吹き込みは少ないがそれでも雪が中に積もる。また雁木が必要な場所に届いてないことによる除雪発生の問題のあることなど、今後のあり方を考えるうえで貴重な成果が得られた。 2. 北欧諸国の最新集合住宅計画事例における共用空間の実態調査研究 スエーデン、フィンランドの2カ国において最新の集合住宅計画事例を対象に、集合住宅計画理念、計画概要についてそれぞれ計画担当者・部局からヒヤリング調査をしたうえで、現地において、サイトプラン、住棟共用空間、住戸空間等の実態調査を実施した。これにより、北欧諸国においては必ずしも積雪条件を反映した集合住宅計画の考え方は無いこと、その一方で、豊かな屋外共用空間、半屋外共用空間、並びに屋内共用空間の発達が見られること、また自然景観の取り込み、各住戸からのながめを重視するなど、居住者の生活により高度なレベルで対応する計画論の反映が見られるなど、今後の研究にとって貴重な参考資料が得られた。
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