1)1992年都市計画法の改正によって登場した都市計画マスタープランについて、都道府県別・市町村規模別にその策定状況を考察した。策定状況には、上記区分別にかなりの格差があり、都道府県別にはガイドプランの存在の有無やそれを使った指導方法がかなり影響していること、市町村規模別には、既にマスタープラン的なものの蓄積の相当程度ある政令指定都市や、都市計画法の恩恵の余りない地方の小規模都市で策定率が低いことが明らかとなった。 2)新潟県下の都市計画区域を持つ50の市町村を対象として、都市計画マスタープランの策定過程について、委員会・懇談会・ワークショップ・説明会などの住民参加の実施を中心にアンケート調査を行い、プランの内容・形式や住民参加の持たれ方等の策定プロセスが、極めて多様であることを明らかにした。住民参加についていえば、全く行われないか形式的にのみ行った市町村が多いが、なかには策定後の参加の継続性についての萌芽が見られるケースもあり、今後に期待が持たれる。 3)50市町村のうち長岡市を取り上げ、1960年以降の、企画・都市計画・商工・農林等の様々な部局によって策定された、50冊程の計画・報告書(市の全体像や拠点として重要性の高い地区を対象とした)について、マスタープランの内容との比較検討を行った。結果、マスタープランは過去の諸計画の重ね合わせの感があり、その運用に際しては、ゼロ成長時代の諸情勢を踏まえて、引き算を含めて、内容の再度の検討が必要であり、その方法を考えることが、今後の課題として残されていることが明らかとなった。
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