1992年の都市計画法改正により制度上初めて登場した「都市計画マスタープラン(法では、「市町村の都市計画に関する基本的な方針」)が登場してから、既に10年が経つ。このプランは市町村が立案するもので、「市町村行政プランナーが住民と十分な議論をしながら作る、コンサルタントはこの過程でコーヂネーターとして参加し、最終的には首長が決定し、知事に報告する」という公図の関係から、その全体を把握する事が困難で、推測では、大都市圏や地方都市圏を主体に、約半数の市町村だけが策定済みという状況であると考えられている。この研究は、制度改正後10年を経た現在、計画立案の実績と過程の仮のまとめを行うのが目的である。 第1章では、国や都道府県の指導の基に、都市計画マスタープランが如何に策定されたかを明らかにした。また、新潟県については、都市計画区域を持つ全市町村(44)を対象に調査をし、国の通達内容が多くに市町村にとって手に余るものであった事、完成度も形式も内容も立案プロセスも、極めて多様である事を明らかにした。 第2章では、新潟県内の長岡都市圏(4市4町1村)を対象に、現行都市計画とマスタープラン(全体像と地域別都市像)を比較する事で、1章の考察結果を詳細に確認すると同時に、やがて迎える人口減少社会に対して、フレームがおおきすぎる事、これは、交通網計画とあわせて、広域圏の中で再考されるべき事を指摘した。また、学会支部の研究やや、個別研究者の研究テーマの流れもある程度整理した。 第3章では、1992年都市計画法改正後、大店法の廃止、地方や分権一括法の2000年都市計画法改正(都市計画区域マスタープランの登場や線引きの都道府県による選択制)を受けて、都市計画マスタープラン研究の、今後の問題を提示した。
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