研究課題/領域番号 |
11650627
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
浅野 聡 三重大学, 工学部, 助教授 (70231892)
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研究分担者 |
葉 華 野村総合研究所, 国際プロジェクト研究部, 主任研究員 (90277814)
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キーワード | 東アジア地域 / 台湾 / 都市計画 / 文化財保護 / 歴史的環境 / 伝統的建造物群保存地区 / 歴史的景観 |
研究概要 |
本年度は、過去2ケ年の研究成果をもとに、主に以下の3点に焦点をあてて研究を進めた。まず、(1)日本の重要伝統的建造物群保存地区制度の到達点については、文献資料調査やフィールド調査などを行い、「指定地区の空間構造の類型化と変化状況」について分析し、制度の運用状況の特徴などを考察した。空間構造については、伝建条例と景観条例の関係および伝建地区周辺地区の指定の有無から10種類に類型化すると共に、近年の傾向として景観条例によって伝建地区周辺地区を地区指定する事例が増えつつあり、その変化は、「伝建地区移行単独型」「伝建地区移行包囲型」「伝建地区移行共存型」「周辺地区付加包囲型」「周辺地区付加共存型」の5種類に類型化出来ることなどを明らかにした。次に、(2)台湾の歴史的環境保全制度の現状の到達点については、現地調査を通して、集集大震災(1999.9)以後の法規制度の改正状況、保全地区の先進事例の近年の動向などについて、その特徴や課題などを考察した。大地震以後の法改正は、文化資産保存法第3次改正にもとづく法的措置と、九二一震災重建暫行条例にもとづくものとに大別して把握すると共に、これらの一連の法的措置導入の課題として、暫行条例の文化資産保存法への移行、不十分な面的保全制度、都市計画との不十分な整合性、歴史建築登録制度の運用などを考察した。なお、韓国に関しては、現地の協力体制がつくれなかったため国内での文献調査を中心に行った。最後に、(3)本研究のまとめとして、日本と台湾を中心としながら東アジア地域の保全行政の特徴や課題などを考察した。研究成果の一部は、日本建築学会大会、日本建築学会東海支部研究発表会にて論文発表すると共に、(財)楽山文教基金会、台北市政府の主催による歴史的環境保全シンポジウムに研究代表者(浅野)が招聘されて講演し、現地の民間専門家、大学研究者、行政担当者との学術交流を進めてきた。
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