研究課題
基盤研究(C)
市街地の諸要素による延焼抑止効果を見るために、阪神・淡路大震災時の火災事例を取り上げて分析した。具体的には、阪神・淡路大震災の火災時に撮影されたビデオ、写真などの画像情報を基にして、火炎形状、発熱量、延焼速度、火災継続時間などについて整理し、市街地構造や気象条件との関連を分析した。その結果、耐火建築や倒壊家屋がある場合、建物からの発熱量が小さくなり同時延焼領域が小さくなること、空地や耐火建築などの不燃領域を延焼する火炎が回りこむことによって同時延焼領域が小さくなること、幅員の広い道路沿いに火炎が広がり同時延焼領域が広がることなど、建築物の構造や形態によって同時延焼領域や発熱量に影響があることを明らかとした。次いで、延焼を抑止する要素として、耐火造及び準耐火造建物を特に取り上げ、これらの建物から出火した場合と、周辺から類焼する場合に分けて、阪神・淡路大震災時の火災について延焼抑止効果を分析した。耐火造及び準耐火造建物から出火した場合については、(1)建物の構造被害が地震後の延焼拡大要因の一つであること、(2)危険物を扱う工場や可燃物の多い店舗などの用途及び小規模建物の場合に隣棟延焼しやすく建物用途や規模が隣棟延焼要因となること、及び、(3)建物密度や道路等の空地の存在が隣棟延焼の有無に関与していること、を明らかとするとともに、隣棟延焼に関わる各要因を用いて隣棟延焼の有無の判別式を作成した結果、構造被害、最小隣棟距離、公設消防活動、建物用途を変数とする式が得られ、それらの変数が隣棟延焼の有無に寄与する傾向を示した。また、市街地火災が耐火造及び準耐火造に類焼する場合については、(1)開口部の面積2m^2未満の網入りガラスの場合、燃焼建物との距離が2m以上あれば脱落しにくいこと、(2)開口部面積2m^2で燃焼建物との距離2m以上の場合はバルコニーが延焼防止に寄与する一方、距離2m未満の場合には逆効果になること、(3)鉄骨造はRC造に比べて外壁の剥落率が高く、地震後に受害防止性を保持しにくいこと、(4)RC造では、建物規模が大きくなるほど、延焼抑止の効果が高いのに対し、鉄骨造では規模に関係が見られないこと等を示した。
すべて 2002 1999
すべて 雑誌論文 (8件)
日本建築学会計画系論文集 553
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