研究課題/領域番号 |
11650632
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研究機関 | 九州芸術工科大学 |
研究代表者 |
西山 徳明 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (60243979)
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研究分担者 |
小林 史彦 金沢大学, 工学部, 助手 (70293371)
三村 浩史 関西福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (50025912)
宮本 雅明 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (80128115)
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キーワード | 重要伝統的建造物群保存地区 / 歴史的成層(レイヤー) / 景観要素 / GIS / 文化財 / データベース化 / 空間文化財 / 歴史的景観 |
研究概要 |
今年度は、先行する2年度で理論的および実践分析手法として構築した歴史的成層(レイヤ)分析手法による事例調査成果を整理した。その上で、地域空間から抽出された実際の景観構成要素や構成原理を、これからの文化財保護行政や都市計画行政の中にいかに位置づけ、保存対象としてのみでなくデザイン要素やデザイン原理として活用して行くかについての理論的構築をさらに進めた。 結論として、以下のように説明できる新たな文化財概念としての「空間文化財」概念を提案した。 1.「空間文化財」とは地域の自然的・歴史的・民俗的コンテクストを備える物的・空間的事象のうち、地域社会がそれらコンテクストを後世に継承する上で欠くことのできないものを特定して言う。例:歴史的な道、建造物群、地形景観、祭の空間等。 2.文化財(保護行政)の体系において「空間文化財」は、「埋蔵文化財」と同様なものとして位置づけることができ、地下ではなく地上空間の中に潜在する文化財のことを言う。 3.都市計画(行政)の体系においては、「埋蔵文化財」に対するのと同様に、自治体によって価値づけられた「空間文化財」に関わる開発行為を行う者に対してのアセスメント等の調査および開発配慮の義務をもとめるものとする。 4.地域の特性を生かそうとするまちづくりや都市計画、ツーリズム開発においては、事前に調査されデータベース化された「空間文化財」のリストが資源として活用できる。
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