研究課題/領域番号 |
11650636
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
山本 明 千葉工業大学, 工学部, 教授 (10083891)
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研究分担者 |
石神 忍 千葉工業大学, 工学部, 助手 (50212866)
片山 律 千葉工業大学, 工学部, 助教授 (40177415)
池永 博威 千葉工業大学, 工学部, 教授 (70083897)
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キーワード | 伝統的建造物 / 街並み保存 / 歴史的景観 / ストックホルム / 旧市街地 |
研究概要 |
本年度は、スウェーデン・ストックホルム市ガムラスタン地区(33.2ha)の街路面建物外観(438面)の形態(構造・階数・間口・外壁材・使用石材寸法・開口部・その他)及び色彩(部位別の色相・明度・彩度)について、現地にて目視および実測調査を実施した結果、当該地区の景観の概要として、以下の諸点が研究資料として得られた。(調査時期:99年8月〜9月)a)調査地区には4階建ての組積造建物が多く、屋根裏部屋を備えているものが大半を占める。b)建物の壁面仕上げは、土台よりも上層階にいくにつれて左官仕上げが多用される。c)6割以上の壁面には、アンカースルーター^*ほか何らかの装飾が施されている。d)看板は大半のものが1階に付いており、小型で色彩の少ない形状のものが多く用いられている。e)開口部に関しては、窓では格子の分割が少ないシンプルなものが多いが、扉においては装飾的なものが多い。f)色相は、土台部分に無彩色が多い点を除けば、イエロー〜レッド系の色が多い。g)明度は、一階外壁面が最も高く、扉の額縁の部分がこれに続く。h)彩度は、低い土台部分と高い一階外壁面の違いはあるものの、全体的に低彩度に分布する。 対象地区全体の建物形態ならびに色彩は、特異な構成要素にものを用いず(例:壁面仕上げや屋根形状)、また暖色系の色相を中心に低彩度が多いことから、全体的にまとまりが認められる。ただし街路の性格をもとに地区内を比較すると、商業地としての性格の強い「ロングガタン」では他の街路群よりもショーウィンドーが設置される為に広い開口部と格子や看板類が多く、色彩はイエロー系〜レッド系の色が集中している。また城壁内外については、城壁外にて開口部装飾や大看板が多く、屋根裏部屋を備え階数の高い建物が大半を占めるなど、地区形成年代の違いによる景観的な差異が伺える。 *床梁と外壁を堅結するための外壁金物のこと。
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