竹は、何世紀にもわたって、人間生活に深く関わってきた。食料として、あるいは道具として利用されている。また、戦国時代宋期より、住宅建材としても利用されている。京町家や数寄屋を代表とする住宅において、小舞壁のような構造上の使用や窓・天井・建具などの意匠上の使用がなされている。 本研究の目的は、平成11年度・12年度の2年間にわたって、建築生産の観点から、竹材の、住宅を中心とした建築物への、従来・現在の利用の検討・見直しを通して、将来の利用可能性を検討することである。 1.文献サーベイ 竹関連の文献の特徴は、大きく、(1)竹の建築意匠への利用、(2)東南アジア諸国の竹の建築利用、(3)竹の工芸品、(4)竹の物的特性の4つに分類できる。建築利用としては、日本においては茶室を代表とする数寄屋の意匠関係が主で、東南アジア諸国のような竹を構造体の一部として利用されることは少ない。 茶の文化と竹の関係は深く、やはり茶室を中心とした、空間演出のために、建築意匠上で利用されていることが多い。床の造作、下地窓、天井などの使用が基本である。防虫対策などのために煤竹を利用することも多い。対して、町家については、小舞竹の壁も残り、犬矢来など、意匠だけではなく、実用的に利用されている。 2.竹材の建築利用実態の検討 別府産業工聾試験所に対するヒアリング調査から、(1)竹材生産の問題点(散財する竹籔からの生産、径をそろえることの困難さなど)、(2)伝統的な竹材以外の建築利用(竹フローリング、竹と紙のサンドイッチ工法による柱材の開発など)、(3)現存する竹筋コンクリート鉄橋、などの新しい知晃などが得られた。
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