研究課題/領域番号 |
11650646
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
無漏田 芳信 福山大学, 工学部, 教授 (70219955)
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研究分担者 |
酒井 要 福山大学, 工学部, 助手 (10235103)
地濃 茂雄 新潟工科大学, 工学部, 教授 (60016673)
小林 定教 島根大学, 総合理工学部, 教授 (00024315)
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キーワード | 都市の温湿度変化 / 気候類型 / 地理的環境 / 土地利用変化 / 人口都市化期 / 要因分析 / 1960-1990 / 日本各地 |
研究概要 |
都市気候の高温化・減湿化を緩和する都市の緑地整備量に関する計画的知見を得るため、本年度は、1953年以降の気象データがある135市町村を対象とし、まず1960年時点の気象指標をもとに気候類型を求めて都市の経年的な温湿度変化特性を把握した。次いで、都市の30年間の温湿度変化特性を表す指標および温湿度変化に影響を及ぼすと考えられる都市化環境要素を検討した上で、都市における温湿度変化の規定要因について考察し、以下のような結果が得られた。 (1)気象37指標は主成分分析を用いて気象環境の温暖性・晴天性・季節性・熱帯性の4軸に集約でき、さらにクラスター分析により緯度、標高、海などの地理的環境が反映された気象特性を表す都市の気候類型が得られた。高温化・減湿化現象は太平洋沿岸や瀬戸内海沿岸の都市などで観察される場合が多く、同じ気候類型でも温湿度変化と人口密度変化の相関性は認められず、温湿度変化要因の解明には多元的な指標を用いた方法による検討の必要性が理解できた。 (2)都市の30年間の温湿度変化特性を表す指標は、算定年で値が変化するトレンド勾配よりも周期的変動を考慮した単純差の方が、また気温の特異値による影響が少ない10年移動平均の方が適しており、都市化に伴う水蒸気圧差は気温変化による変化分を取り除いて分析する必要性を示した。さらに、同じ相対湿度差の都市でも気候類型により補正水蒸気圧差は異なることから、補正水蒸気圧差が相対湿度差より実質的な都市化に伴う変化を表すことを明らかにした。 (3)都市の地理環境や気象要素のほか、人口系や産業系の集積変化、都市全体や観測地点周辺の土地利用変化という各観点から6つの都市化環境要素を設定し、数量化I類による要因分析を行った結果、都市の気温差および補正水蒸気圧差には土地利用類型や観測環境類型が人口類型や産業類型などより強い規定力を示し、DID地区の拡大が高温化・減湿化に影響し、特にDID地区で囲まれていない場合の観測地点は高温化・減湿化に緩和の寄与を示すことが判明した。
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